手造りの道具

竹細工  杉本義明 氏
昭和7年生れ
台湾に生まれる
 父親は日本柔道の先生、14歳の時終戦をむかえるとともに故郷熊本に引き上げる。 熊本は竹細工の盛んなところで、杉本少年はみようみまねで竹細工の技術をおぼえる。 18歳の時父親が死亡。長男であり、一家の生計をたてるべくてっとりばやく竹細工職 人となる。研究熱心、生来の器用さも手伝い竹細工の腕はぐんぐん上がった。
27歳の時農業移民として、父親のいとこをたよってブラジル、ゴヤス市へ渡る。当地 においても農業のかたわら竹細工を続ける。州政府主催の市場等で作品は高い評価を得 る。望郷の念去り難く、1995年日本へ帰国、縁あって当店の専属職人となる。



信条:
 今まで満足した作品は無い。 名人の作品をたくさん見る。そしてばらして見る。基 本的にどこから編み始まってどこで終わっているのか。必ず試作品を作ってから取り 掛かる。作品をじっと見つめているとフッとインスピレーションがわき応用がきく。 道具はすべて自分で工夫して作る。自分で竹山に入り竹を伐採その場で竹を割り、さく 。竹山は赤土の石灰岩が混ざった日当たりの良いところの竹を使う。割りやすいし強靭 である。竹の切り時は9月から12月、3年目の竹をねらう。ざる、かごを編むのは誰 でも数年でできるが、竹割り、ふちまきは作品の善し悪しを決定付けるので数十年かか る。




杉本さんの作品
<続編>杉本氏の仕事場は竹林の中    
朝もやにけむる山あいの田んぼを心地よい風がふきぬけていきます。刈り取った稲の 二番穂がツンツンとのびた間のあぜみちを通っていくと清流の小川に出会います。朽 ちた二本の丸木橋をバランスをとりながら渡るあたりは山陰になり、朝日が出ている のに薄暗くひんやりとしています。前を見上げると竹林の中、右方向に少し曲がった わずかな道が確認できます。
竹の葉の積もったふわふわとした坂道を右に左にずんず ん突き進んでいくと、あたりはもう竹林の奥、サワサワと竹のすれる音とあまい竹の 匂いが充満しています。前方にうっすらと太陽の光が差し込むのを背に遠くからでそ れとわかる竹林の人、ポツンと座り 杉本氏は無心に小刀を動かし竹を割いてい る。静かな空間、杉本さんはこよなくこの空間を愛するのです。
竹の切り方にもコツがある
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